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●● レビュー "Money is the real Deadly Art of Survival"ネイサン(ネイサン・イングラム)は、マーシャルアーツの達人で、レッスンも行っていたが、余りお金もなく、未だ母親とプロジェクトに住んでいる青年だった。ネイサンはNYCの街中で友達と話していたと思ったら、突然ハンサム・ハリー(ジョージ・ゴンザレス)の仲間に襲われた。ハンサム・ハリーは「ディスコ道場」を経営し、そこで麻薬取引をしている人物だった。フランキーという男が、自分の彼女(中馬芳子)がネイサンに寝取られたと勘違いし、ハリーを雇っていたのだった。ネイサンはハリーの仲間に仕返しをするが、今度はハリーが仕込んだ忍者達に追われるのだった… 「ワイルド・スタイル」の監督チャーリー・エーハンが制作した、低予算カンフー映画。本当に低予算でたった2000ドルで制作。登場している少年達はピザで雇われている。しかも撮影はスーパー8でチャーリー・エーハンが撮影している。ネイサン・イングラムはニューヨークのチャイナタウンで訓練した本格的な武道家。NYCでは有名だったので、あの麻薬王のニッキー・バーンズにも目を付けられ、バーンズの事を知らなかったイングラムは1度だけバーンズの為にお金を回収した事もある。しかし実際のバーンズは麻薬撲滅の為に、子供達に武道を教える人物で、この映画が公開されてからほどなくして、銀行強盗をしようとした青年を捕まえ、当時のNY市長に賞を貰っているほどだった。そのイングラムが自分の住む環境を何とか変えたいと制作したのが、この作品である。低予算だけに未熟な部分は多々ある。台詞も笑ってしまう事がある。しかし、ブーツィ・コリンズのコンサートに行った子達が、それについて語っている部分やタクシーでネイサン達が討論している部分はアドリブで実に自然で生々しい。この映画は全体的に映像といいアドリブの台詞といい生々しく、まるで当時のNYCの青年達のドキュメンタリーを見ているようなのだ。 さすが「ワイルド・スタイル」のチャーリー・エーハン。映画全体を見てしまうと、未熟でとるに足らないものかもしれない。でも、そのピースの一つ一つにニューヨークの若者と文化が詰まっている。これが無かったら、あの「ワイルド・スタイル」も無かったのだ。 (Reviewed >> 11/28/12:DVDにて鑑賞) |
●● 100本映画 凄い作品。DVDのジャケは酷いけど、凄い。あのヒップホップを世間に知らしめた「Wild Style / ワイルド・スタイル (1983)」のチャーリー・エーハン監督の作品。その「ワイルド・スタイル」の前の作品。主役はネイサン・イングラムという、ニューヨークのチャイナタウンで武道を学んだ人物。彼が住んでいたのがスミス・プロジェクトというチャイナタウンの近くだったのもあってチャイナタウンで取得。この人について調べたら、かなり面白い。彼の事はNYCでは割りと知られていたようで、あのNYCの麻薬王だったニッキー・バーンズの側近がイングラムに電話を掛けて、バイクのギャング達「ブラック・ファルコン」からお金を回収をする事を頼まれる。ニッキー・バーンズの事は余り良く知らなかったイングラムは引き受けてしまい、ブラック・ファルコンをボッコボコにして、ハーレムで「ブラック・ブルース・リーが居る」と話題になったらしい。バーンズは気に入り、イングラムをその後も使おうとしたらしいが、イングラムは断ったとの事。まあ、バーンズの事を知らなかったというのは嘘だよね、きっと… どんな人かは知っていた筈。この映画でのネイサンの台詞にもあったけど「お金こそが命懸けの護身術」と言ってる。お金の為だったと思う。でも、この映画はバーンズみたいな人たちから子供達を守りたいと作られた映画。物語は他のカンフー映画がそうであるように、この映画もリベンジ。モテモテだったネイサンは、フランキーという男の彼女である日本人女性ミホに手を出したと勘違いされ、ハンサム・ハリーという「ディスコ道場」という道場を持つネイサンのライバルに殺してしまうように命じるんですね。それで仕返しの応酬が始まってしまう。途中には忍者まで出てきちゃう!この忍者が笑ってしまう。失笑的。つーか、ディスコ道場って何よ!でも随所にニューヨークの当時が詰まっているんです。ブーツィ・コリンズのライブに行ったと話す人の会話、そしてネイサンが生徒達とタクシーでする会話、実際にネイサンの両親所有の教会等に、そういうのが詰まってる。未だお母さんと一緒に住んでいるネイサンが、お金が無いのでバスケットコートでレッスンしているのとかも、生々しい。 たった2000ドルという低予算で、カメラもスーパー8で出来た映画。お金が無いのはすぐ分る。タイトルも主人公が型をやりながら、タイトルとか監督の名前とか語ってます。シンプルなエンディングロールは逆にオシャレ。これを見ていると自分のインナーサークルって大事だなって感じた。監督以外にべスBという女性もカメラで参加。この女性もノー・ウェーブやニューヨークのパンクシーンを支えた人物の1人。そして日本人女性中馬芳子氏も参加している。彼女はダンサーで、ニューヨークに渡ったのが1978年らしいので、渡ってすぐにこの映画に参加したんでしょうね。この映画を引っかき回す重要な役。そしてこのネイサン・イングラムの生徒の1人が「ワイルド・スタイル」の主役リー・キノネス。そしてこの映画を見に来ていたのがあのフレディ・ファイブ。その時をきっかけにチャーリー・エーハンとフレディ・ファイブは「ワイルド・スタイル」を作る事になる。始まりの始まりがこの映画だった。 という事で超カルト映画になっている。覚えておいて得は無いかもだけど、損は無い。 (1056本目) |
●● トリビア 「ワイルド・スタイル」の監督チャーリー・エーハンが監督・脚本を書いたニューヨークを舞台にしたカンフー映画。主演のネイサン・イングラムは実際に武道の達人。タイマックや「ワイルド・スタイル」の主役リー・キノネスなどの先生でもある。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
●● 関連記事 |
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●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt1091994/Not available from Wikipedia Not available from Allcinema |
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