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●● レビュー Welcome to Jerusalema where 90's black American movies live1994年ラッキー・クネネ(ジャフタ・ママボロ)はソウェトの町で親友のゼイクス(モトラトシ・マーコロ)と共に学校に通っていた。ラッキーは成績も良くヨハネスブルクの大学に志願していた。大学からの合格の通知が届くが、奨学金は出ない事を知ったラッキーは、ゼイクスの兄でロシアで共産党と戦闘を学んできたナザレス(ジェフリー・ジーコレ)からの指導で車を盗むようになった。お金は入るが考えなおして辞めたが、ナザレスから最後と言われた仕事で警察に追われ、ゼイクスと共に故郷を離れた。10年後、ラッキー(ラプラナ・セイフェモ)とゼイクス(ロニー・ンヤカレ)はヨハネスブルクでタクシーを運転していたが... またもや「ツォツィ」か...と見る前に思った。南アフリカが2006年のアカデミー賞の外国語部門を初めて受賞したあの「ツォツィ」はアフリカの今とアフリカらしい面白いストーリーがあり面白かった。この作品もツォツィ...アフリカのギャングの話である。正直、二番煎じな映画だと思っていた。この監督は南アフリカで生まれ育った白人だが、今はイギリスやLAに住んでミュージックビデオを作っている人である。今らしい最先端の映像技術に、90年代のアメリカのブラックムービーを流行らせた「ニュー・ジャック・シティ」を思わせる内容が、私を完全に釘付けにした。この映画は実在する人物の物語を映画にした訳ではなくて、実際の事を映画にしている。監督が久々に南アフリカに帰ってきた時に友人から聞いた話しを元に調べてラッキー・クネネを作り上げた。その人物像がアンチヒーローで面白い。またそのラッキー・クネネを演じたラプラナ・セイフェモも90年代のアメリカのブラックムービーのアンチヒーローそのものだった。そして冒頭のラッキーの高校時代はセンチメンタルでもあり、男の子が成長する様の物語だったりと実に上手くて飽きない。 私達が愛した90年代のアメリカのブラックムービーが、遠く離れた南アフリカの地でかなり成熟した大人に成長しているのに驚かされる。単なる真似やその上のオマージュという訳でもなく、そこには断固とした彼等らしさも存在し、見事に今の南アフリカを表現し、これが彼等なんだと感じさせてくれる秀作。 (Reviewed >> 10/23/10:DVDにて鑑賞) |
●● 100本映画 結論から言ってしまうと面白かった。想像以上。私が見たDVDタイトルは「Gangster's Paradise: Jerusalema」。南アフリカの作品。となるとね、どーせ「Tsotsi / ツォツィ (2005)」の二番煎じなんでしょ!と意地悪に思っていたのです。あれを超えるのってある??と...所が私は歴史から学んで無かったね。「Boyz N The Hood / ボーイズ’ン・ザ・フッド (1991)」を見た時にこれを超えるLAフッド映画は無いねと思ったけれど、「Menace II Society / メナース II ソサエティー/ポケットいっぱいの涙 (1993)」で、超えたかどうかは別にして「まだまだこんなに面白いのが出来るじゃん!」と思った...のと似た感覚。というか、この映画自体があの90年代当時のブラックムービーを見ているような感覚でした。主役も90年代にブラックムービーで活躍したボキーム・ウッドバインにそっくりなので余計にそう見えてくる。という訳で見た後に色々調べてみたのですが、これがまた実に面白い。タイトルの後に「これは実際にあった事からインスパイアされた」と出てくる。見た後にじゃあ主人公のラッキー・クネネは存在しているのか!と思っていたら、どうやらそうでは無いらしい。「事」であって「人」じゃない。となると、「New Jack City / ニュー・ジャック・シティ (1991)」に似てるのかもしれない。ニノ・ブラウンは存在しないが、モデルとなった実際のギャングは存在してる。そんな感じなのである。でもニノ・ブラウンは廃墟したアパートをクラックハウス(クラックを製造場でもあり中毒者のたまり場でもある)にしてしまうが、この映画の主人公ラッキー・クネネは古くなったアパートから麻薬中毒者や娼婦を追い出して、住民からは大家と交渉するからと家賃を一旦預かる。住民は麻薬中毒者や娼婦が居なくなった事で安心する。大家に修理や改善するまで住民からの家賃は払わないよと言い渡す。大家は住民からの家賃は入らないのに土地代は払わないといけないし、わざわざ治安の悪いアパートがある所まで行くのも大変だし...で仕方なくというか半ば強制的にクネネと交渉。もうその頃にはアパートの価値も下がってしまい、最低ラインでアパートをクネネに売る人も多い。という仕組みでクネネはお金を稼いでいく。でも今の俺は堅気の商売で、法は犯してない!更に言えば、麻薬なんて大嫌いなんだよー!!という男。 でも、そこまで行くのに高校時代から遡ってクネネは自分の物語を語っていくのです。この高校時代は青春映画みたいなんですわ。最初から最後まで話で飽きさせませんね。その辺がやっぱりアフリカ映画なんですね。しかもアフリカの今みたいのを突きつけてきます。俳優達の台詞も英語半分アフリカの言葉半分というのが面白かったですね。クネネは白人女性と付き合うんだけど、それをくどく描いてないのもいいですねー。実に自然。別にーみたいな。タイトルもだけど、サラリと聖書とかも入れてきてる。 監督は南アフリカ生まれの白人監督ですが、今はLAに在住。ミュージックビデオを撮ってる。それもあってか、最新映像技術を使っていたのもアメリカの映画を思わせてくれました。プロデューサーの1人が南アフリカの黒人。アフリカの映画もかなりというか超早いペースで成長してますぞい。 (0771本目) |
●● トリビア アパルトヘイト以前に地元で車を盗んで富を得たのが若いギャングスタのラッキーという男。しかしアパルトヘイト後になって事情が変わり... 南アフリカで実際にあった話を映画化している。 南アフリカはこの作品をアカデミー賞の外国語部門に提出したが、ノミネートはされなかった。 監督は南アフリカで生まれ育ったが、現在はイギリスやLAに長い事住んでいて、ミュージックビデオの監督として知られており、トニ・ブラクストンやオジー・オズボーン、珍しい所では日本の氷室京介のミュージックビデオも監督している。 DVDタイトルは「Gangster's Paradise: Jerusalema」。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 * The BEST OF SOUL2010 映画秘宝 私が選んだベスト10 2010年度6位 * Durban International Film Festival 2008 Won Audience Award Best Feature 2008 Won Best Actor : Rapulana Seiphemo * Ouagadougou Panafrican Film and Television Festival 2009 Won Best Actor : Rapulana Seiphemo 2009 Won Best Cinematography : Nic Hofmeyer 2009 Won Best Editing : David Helfand * Zanzibar International Film Festival 2009 Won The Golden Dhow : Ralph Ziman |
●● サウンドトラック 1. Two Heroes2. Resisting Nazareth 3. Guns 4. Armored Car Robbery 5. Are You In? 6. Sniper 7. Jerusalema 8. Reflection 9. Lucky And Nomsa 10. Taxi Thieves 11. Find Me a Gang 12. The Return of Nazareth 13. Cleaning Up 14. Santos Ribeiro 15. Lucky Meets Leah 16. Josh Is Rescued 17. Shot Them like Dogs 18. Top Star 19. First Arrest 20. Swapping the Papers 21. Lucky Is Free 22. Nazareth Drug Bust 23. Josh Escapes 24. Josh Is Dead 25. A Lot to Lose 26. Zakes Is Dead (Approaching the Club) 27. Roof Confrontation 28. Khulule 29. You'll Never Win This War 30. Psalm 31. Jerusalema (Long Version) Soundtracks from Amazon.co.jp |
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●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt0783532/http://en.wikipedia.org/wiki/Jerusalema Not available from Allcinema |
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