|
●● レビュー What tragic means hereピンキー(J・クレイン)は黒人の血が混ざる黒人女性だったが、一見白人にしか見えなかった。成人し東部の看護学校に通い、そこで白人の医師トムと出会い愛し合うようになる。卒業したピンキーは、おばあちゃん(エセル・ウォーターズ)の居る南部に戻ってきた。すぐに東部のトムの元へ帰るつもりだったが、おばあちゃんがお世話になったミスEM(エセル・バリモア)の病気の世話をするように言われ、嫌々ながらも引き受けたが... この映画で、何を「悲劇」と見るか... 見る側に大きく委ねられるのではないかと思う。黒人女性でありながら、白人にしか見えずに「白人として生きる(Passing)」を経験してしまったピンキー。そこで、南部に戻り「黒人女性」として、酷い仕打ちを受ける... これは「悲劇」かもしれない。さらには、この映画の主人公ピンキーを演じたのが黒人女優ではなく、白人女優だ。これは、黒人女優にとっては「悲劇」的な事かもしれない。エセル・ウォーターズは強い黒人女性として、そしてエセル・バリモアは芯の強い白人女性として最高の演技を見せている。が、ウォーターズは「白人に従順な宥める役」だ。これも時代とは言え、悲劇的だ。 私が1番悲劇的だと思ったのは、この映画のラスト。結局ピンキーは黒人女性としてのプライドを取り戻して自分自身で立ち上がるのだ。この点は、普通に見ていたら勇気を与えられる素晴らしいシーンになったかもしれない。でも、ピンキーは女としての幸せを捨てているのだ。完全な幸せじゃない。「女性」としての幸せは捨て、「黒人女性」としてのプライドを手にする。なぜピンキーは、女性としてそして黒人女性として幸せになる事が出来なかったのか...これこそが、「悲劇」だと私には思えた。 (Reviewed >> 5/5/06:DVDにて観賞) |
●● 100本映画 はてな年間100本映画クラブという訳で、150本までレッツゴー。クラシックを沢山見たいので、1本目はこれ。 エリア・カザン作で、内容が濃い。エセル・ウォーターズもいいけれど、エセル・バリモアも貫禄あっていい。 結末は、残念ながら途中で分かってしまうのだけど、それでもどうなるのかこの目で見たくなる。 しかし、この作品が日本未公開とは... (0001本目) |
●● トリビア 「欲望という名の電車」や「エデンの東」等で知られている名匠エリア・カザン監督による作品。主演には、ジーン・クレイン。「Cabin in the Sky」のエセル・ウォーターズや、バリモア家の1人エセル・バリモアが共演。3人揃ってオスカーにノミネートされた。 「ストーミー・ウェザー」のレナ・ホーンが主役を演じる予定だったが、白人男優とのラブシーンがある為に、白人女優に変更された。 日本ではようやく「エリア・カザン傑作選 DVD-BOX」という形で2012年12月からDVD発売される事になった。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 >> Academy Awards, USA1950 Nominated Best Actress in a Leading Role : Jeanne Crain 1950 Nominated Best Actress in a Supporting Role : Ethel Barrymore 1950 Nominated Best Actress in a Supporting Role : Ethel Waters >> Writers Guild of America, USA 1950 Nominated The Robert Meltzer Award (Screenplay Dealing Most Ably with Problems of the American Scene) : Philip Dunne, Dudley Nichols |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
●● 関連記事 |
|
●● インフォサイト http://imdb.com/title/tt0041746/http://en.wikipedia.org/wiki/Pinky_(film) http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=337228 |
|
|