|
●● レビュー Tears of Clownバディ刑事コメディ『ハミー・ザ・ベア』の3部作で大人気のアンドレ・アレン(クリス・ロック)であったが、次回作はハイチの革命戦争を描いた真面目作『Uprize』で喜劇俳優からのイメージの脱却を狙っていた。映画のプロモーションも兼ねて、あのタイム誌がインタビューを行いたいと言ってきていたが、タイム誌のジェームス・ネルソンの映画批評家に以前にコテンパンに批判された事もあって、アンドレは拒否していた。しかし今回は別のチェルシー・ブラウン(ロザリオ・ドーソン)なのでと説得されて渋々承諾した。日常のプロモをこなしながら、密着という形でインタビューに答えていくアンドレ。しかもアンドレには3日後にリアリティ番組に出演している婚約者エリカ(ガブリエル・ユニオン)との結婚が控えていたのだった。そんな中で、チェルシーの質問に答え、次第に自分を曝け出していくアンドレだったが... クリス・ロック久々の自身のアイデアによる脚本と主演、そして監督となるコメディ映画。制作時は全くのインディペンデンスであったが、映画祭で上映されるやいなや好評となり、全国上映にまでこぎ着けた、クリス・ロック渾身の作品である。正直、私もここ最近の彼の作品について、この映画に出てくるタイム誌のジェームス・ネルソン並に酷評していた。でもこのような形で彼がそのアンサー映画を最高の形で作ってくれたのだから、書いてやっぱり正解なのだ。コメディアンでいる事の悲哀と喜びの両方が涙と笑いと共に表現されている。それでいて、コメディアンらしく、リアリティ番組や人種問題などの世の中の異常な状態を面白く皮肉っている。そしてラストで自分を回帰する場面などは、驚くくらい正直にそして素直にコメディアンを感情的に熱く描いている。 コメディアンとは?コメディとは?コメディアンを描いたトップ5映画で間違いない。ブリング・ザ・ペイン。これがクリス・ロック、いやこれこそがクリス・ロックなのだ! (Reviewed >> 12/28/14:劇場にて鑑賞) |
●● 100本映画 明けましておめでとうございます!2015年もよろしくお願いいたします。という訳で景気良くいきますか!景気づけにはやっぱりクリス・ロックだよね!という事で、「な?なんで?」という言葉を無視して2015年も突っ張りたいと思います。っていうかさ、新年といえば、賑やかな芸人が「おめでとうございます~、今年も余計に回っております~」でしょ!今の世代は知らんが、私の世代はそうだった。初詣は紅白が終わってから出かけるものだったし、正月といえばお雑煮を食べながらの爆笑ヒットパレードだった。少なくても私の中ではね。という事で、その位賑やかなアメリカの芸人達が集まっているのが、この『Top Five』であります!! アンドレ・アレン(クリス・ロック)は大人気のコメディアン。『ハミー・ザ・ベア』という刑事バディ映画で、クマの気ぐるみを着た刑事を演じ、3部作となる人気だったのだ。そんなアンドレが次回作に選んだのが、ハイチの奴隷が革命を起こし、白人を大量殺戮していったシリアスドラマの『Uprize』であった。今はそのプロモーションで大忙し。様々なプロモを仕掛けているが、あの大手の「タイム」誌がインタビューをしたいと申し出ていた。しかし、タイム誌の記者ジェームス・ネルソンにコテンパンに酷評された事があって、ぜーーたいに嫌だ!と断っていたが、今回は別の人物でタイム誌に載せて貰うのはいい宣伝になるからと渋々了承。やってきたのが、チェルシー・ブラウン(ロザリオ・ドーソン)だった。乗る気がないアンドレは適当に答えていたが、密着で1日を共にしている間に息通じるものを感じるアンドレ。しかしアンドレは3日後に、リアリティ番組で有名な女性エリカ(ガブリエル・ユニオン)との結婚が控えていた。アルコール中毒の時に救ってもらったと感じていたのだ。しかしその結婚もリアリティ番組とエリカによって仕切られており、ずっとカメラが追っていた。ふと気が和らぐのは、地元の仲間と話す時だけであった。そんな姿を見てチェルシーもアンドレに気を許していく。そしてチェルシーはインタビューでアンドレに核心をつく。「なんでコメディをもうやらないの?なんでもう面白くないの?」と。アンドレが出した答えとは... 今までコメディアンを題材にした映画はそこそこある。ロバート・デ・ニーロ主演の『キング・オブ・コメディ』が一番有名かもしれない。面白い事ばかりを考え、面白い事ばかりを話すコメディアンなのに、なぜか悲劇が付きまとう。今回は名声を手に入れた上で起きる悲劇。しかもさらにクリス・ロックらしい「それが黒人だったらどうなるか?」がプラスされているのだ。最近のタイラー・ペリー問題も実に面白く皮肉っていて心地よく最高なのだ!この映画は『恋人までの距離』よろしく、アンドレとチェルシーの会話で物語が成形されていく。その『恋人までの距離』に出ていたジュリー・デルピーとクリス・ロックが共演した『2 Days in New York / ニューヨーク、恋人たちの2日間 (2012)』の時には、悪くないけど、こういうクリス・ロックが見たい訳じゃないんだよねーと思っていたけど、無駄じゃなかったね!クリス・ロックはやっぱり自分主導で進ませると、彼の面白さが数百倍アップして最高だ。この映画でのアンドレとチェルシーの会話で好きなのが、『猿の惑星(1968)』とキング牧師の暗殺の関係性について。帰ってきて調べたら、『猿の惑星』は本当に1968年4月3日上映開始だった!まあその日付が意味するのは、キング牧師を知る人なら、マジか?と思うに違いない。また猿の...っていうのがね。そして喜劇王のチャップリンをKRS-Oneやグランドマスター・フラッシュに例えたりするのが、クリス・ロック風。まあでもタイトルになった『Top Five』の所がこれまた最高だよね。みんなで好きなラッパーのトップ5をワイワイと言い合う。我が家もよくやるやつ。映画見るとまた改めて考えたくなるの! 最初にちょっと書いたように、クリス・ロック周辺のコメディアンが賑やかに多数カメオ出演!ウーピー・ゴールドバーグやジェリー・サインフェルドにアダム・サンドラーは本人として出演し、アンドレにアドバイス?する役。仲良さそう。他にも絶好調男ケビン・ハートやセドリック・ジ・エンタテイナーに事故が心配なトレイシー・モーガン、そしてサタデー・ナイト・ライブ組みからマイケル・チェにジェイ・ファロアにレスリー・ジョーンズも出演。『Pootie Tang / プーティ・タン (2001)』ではナレーション的な役目もしていたJB・スムーヴが、クリス・ロックの最高の右腕となっていて、最後ちょっと泣ける! そして音楽がこれまたクリス・ロックぽくていい!なんていうか、クリス・ロックとデイブ・シャペルはヒップホップ世代のコメディアンだよね。私が大好きなデーモン・ウェイアンズとはまたちょっと違う。デーモンにはポップなR&Bが良く似合う。クリス・ロックがHBOでやっていた『クリス・ロック・ショー』、そしてデイブ・シャペルがやっていた『シャペルズ・ショー』もヒップホップが良く似合っていた。だからか、この映画の冒頭からジェイーZとKanye Westの「Ni**@# in Paris」!もう最初からテンション上がる。途中でジャズだったりするのも最高!そんな音楽を担当したのが、ザ・ルーツのクエストラブ。ラブさん、最近やりますわ!ディアンジェロの新譜といい、いい仕事をやり過ぎる!で、この映画のトリとなるゲストがあのラッパーですし!って、ラストが最高なのよね、この映画。あの話を最後にそう落とすか!みたいな。落語じゃないけど、こりゃ一本取られましたな!的な上手い終わり方。あれを最後までじっくり見せずにあそこでああいう形で終わらせた事に、クリス・ロックが成熟した事を感じましたわ。なんていうか、日本の月9ドラマぽい内容ではあるけれど、最高だ! という訳で、私が大好きなヤヴァイ位に面白いクリス・ロック様、お帰り!! (1316本目) |
●● トリビア クリス・ロックが主演・脚本・監督のコメディ。トロント映画祭にてプレミア公開予定。共演には『シンシティ』のロザリオ・ドーソン、『バッドボーイズ2』のガブリエル・ユニオン、『ディス・イズ・ジ・エンド』のケビン・ハート、『プーティ・タン』のJB・スムーヴ等。 タイトルが『Finally Famous』から『Top Five』に変更。 トロント映画祭でプレミア上映され、批評家からも好評を受け、映画が既に出来上がった状態であるが、ジェイーZとKanye Westがプロデューサーとして参加している。 |
●● その他 |
●● 受賞歴 * The BEST OF SOUL2014 Won Best Movie of the Year (Comedy/Musical) 2015 映画秘宝 私が選んだベスト10 2015年度10位 |
●● サウンドトラック Soundtracks not available |
●● 関連記事 * 映画秘宝 2015年 5月号 この映画を観せろ!BEST70!! |
|
●● インフォサイト http://www.imdb.com/title/tt2784678/http://en.wikipedia.org/wiki/Top_Five http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=352390 |
|
|